環境報告書2011

環境報告書2011 page 39/84

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6.環境研究■ラオスにおける食と環境因子によるアルツハイマー発症のリスク評価と新規予防法の探索医学系研究科環境分子医学/翠川薫(リサーチアソシエイト)、村田真理子(教授)先進国で深刻な社会問題となってい....

6.環境研究■ラオスにおける食と環境因子によるアルツハイマー発症のリスク評価と新規予防法の探索医学系研究科環境分子医学/翠川薫(リサーチアソシエイト)、村田真理子(教授)先進国で深刻な社会問題となっているアルツハイマー病が、途上国においても将来同様に増加していくのか、食生活を中心に、環境因子、遺伝子、人種差、生活習慣病などの複合因子がどのように関与しているのか、ラオス国の行政機関との共同研究により住民の健康意識の向上と予防法の確立を目指しています。ラオス国立病院との共同研究で、アルツハイマー病(以下、AD)を含む認知症が疑われる患者の調査を行っています。ラオスでは認知症患者の多くは通院せず家族がケアし、病院統計に現れることがない為、調査は村に潜在する高齢者のフィールド調査を行うこととなります。現在、首都圏農村部、地方農村部(少数民族)でのフィールドがあり、定期的な住民の健康診査、食事・生活調査を行い、生活習慣病およびAD患者の実態調査を実施しています。りかんAD罹患リスクは、糖尿病患者では2倍近くに、特に遺伝子多型を伴う糖尿病の場合は、5倍以上に増加するため、糖尿病との関連は重要です。現在、遺伝子解析を進めており、食生活や環境因子の関与も含めての因果関係を明らかにしていく予定です。ラオスでは国によるADの本格的な疫学調査はなく国民の関心も低いのが現状ですが、これまでの検診結果から糖尿病予備群が潜在的に多いことが明らかになり、ADの危険性も高まることが示唆されます。さらに調査村で、井戸水のヒ素やアルミニウムなどの有害金属汚染を特定し、住民への健康教育を行っています。本年夏の調査時には汚染のない新しい井戸の自主的な確保や村への上水道設置の政府への嘆願書提出など住民の健康行動が見られ、国際貢献として疾病予防の役割を果たす点でも意義があり、今後さらに研究を推進する予定です。共同研究者:翠川裕(鈴鹿医療科学大学)、中村哲(国立国際医療センター)、ラオス国立公衆衛生院、マホソート病院、ラオス保健省身体測定ラオス人医師による問診と保健指導環境研究生物多様性関連研究■生物多様性の高い大学キャンパスを活用した自然観察授業の考案と実践教育学部理科教育講座/平山大輔(准教授)自然に親しむ機会の減少にともない、学校園における自然体験学習の重要性はますます大きくなっています。そのような背景のもと、自然豊かな三重大学のキャンパスを積極的に活用し、身近な自然観察に強い教員の養成を目指した取り組みを行っています。野外での自然観察という実体験を通して児童・生徒が生物に関する知識を身につけるプロセスは、理科教育において非常に重要であると考えられています。しかし、野外観察を実施するには、生物に関する広範な知識や種同定の能力が必要とされるため、これらに自信のない教員にとって野外観察は悩みの種であると指摘されています。特に、自然環境に親しむ機会の減少している近頃では、こうした傾向はますます強くなっているのではないでしょうか。このような背景のもと、教師・保育士を志望する学生が自然誌の面白さを体験によって伝える能力を養う場として、また、近隣の学校園の身近な自然観察の場として、三重大学キャンパスの積極的な活用が進むことを目的としEnvironmental Management Report 2011 37