環境報告書2011

環境報告書2011 page 40/84

電子ブックを開く

このページは 環境報告書2011 の電子ブックに掲載されている40ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
6.環境研究環境研究た取り組みを平成21年度から行っています。具体的には、秋に近隣の学校園の子供たちを招いて樹木・野草の観察や木の実拾いを実施し、そのガイド役として、学校教員養成課程の学生の参加を促してい....

6.環境研究環境研究た取り組みを平成21年度から行っています。具体的には、秋に近隣の学校園の子供たちを招いて樹木・野草の観察や木の実拾いを実施し、そのガイド役として、学校教員養成課程の学生の参加を促しています。平成21年度には、みなみりっせい津市立南立誠幼稚園を対象とした観察会に4名の学生が、きたりっせい平成22年度には、白塚幼稚園、北立誠幼稚園、栗真小学校(1、2年生)を対象とした観察会に25名の学生が参加しました。参加学校園数および参加学生数ともに前年度より増えたことは、隣接学校園との連携や、自然観察に強い教員養成のうえでも非常に有意義でした。また、参加学生の事後評価(振り返り)からも、多くの学生がこうした自然観察の意義を感じていることが分かりました。一般に、果実・種子には、普段動くことのできない植物が「動く」ための多様な仕組みが備わっており、果実の形態には植物の生存戦略が如実に反映されています。たとえば、カエデ類の翼果(プロペラをもった果実)は、滞空時間を長くし、種子の散布距離を増加させることに寄与しています。また、ニシキギ科の果実の鮮やかな赤色は、散布者である鳥に対するディスプレイ効果をもつと考えられています。ただ眺めるだけでなく、授業の対象学年に応じて植物の生活(生存戦略)と関連付けた観察を行うことにより、形態のもつ意味の理解や興味の惹起につながると期待できます。広大な敷地と豊かな自然を有する三重大学キャンパスを最大限に活用した環境人材育成・教員養成ができるよう、今後も取り組みを持続させていきたいと考えています。南立誠幼稚園との連携(平成21年10月15日)■植物による重金属汚染土壌の浄化大学院生物資源学研究科資源循環学専攻土壌圏生物機能学/水野隆文(准教授)植物が根から重金属を吸収し、体内に蓄える能力を利用した土壌の浄化法をファイトレメディエーションといいます。人々の健康に被害を及ぼす様々な重金属を土から除去できるよう、重金属に強い植物の探索や開発、回収した金属の資源利用などについて研究を行っています。植物はタネが落ちた場所が一生涯を過ごす場所となります。自分で生きる場所を選べない植物は、たとえ生育に過酷な環境であっても、子孫を残すべくさまざまな遺伝子を駆使して生き延びようとします。鉱山の周辺などに見られる高重金属土壌は、代表的な不良土壌の一つですが、このような場所でも重金属に強い植物が生育しており、中には高い濃度の重金属を体内に蓄積しているものが見つかります。このような植物が持つ有害金属吸収能力を、重金属で汚染されている土壌の浄化に用いる技術がファイトレメディエーションです。現在日本では、この技術をイタイイタイ病の原因であるカドミウムで汚染された土壌の浄化に利用しているほか、世界ではヒ素、鉛、セレンなどの有害元素の除去にも応用されています。またチェルノブイリ事故では放射性元素の吸収する植物について研究が行われており、現在福島の原子力発電所から飛散したセシウムの除去にヒマワリなどの植物が利用されています。土壌圏生物機能学研究室では、特定の金属を高濃度に集積する植物をモデルとして、植物が持つ金属を吸収・集積する機構や、これらの植物を金属資源として利用する技術について研究を行っています。これまでに中部電力と共同で、高い鉛集積能力を持つ緑化用ソバから鉛耐性に関わる遺伝子を単離し、高濃度の鉛で汚染されたクレー射撃場などの浄化に利用できる植物を開発しました。また最近の研究で、コシアブラという木本植物が葉にレアメタルの一種であるマンガンを最高2.5%まで集積することを報告しています。環境浄化だけではなく、このような植物を代用鉱物として利用する方法(ファイトマイニング)が、低エネルギーで資源を回収することができる環境に優しい技術として注目を集めています。マンガン集積性植物コシアブラ38 Environmental Management Report 2011