環境報告書2011

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6.環境研究エネルギー関連研究■三重大学スマートコミュニティ大学院工学研究科電気電子工学専攻/石田宗秋(教授)、山村直紀(准教授)三重大学のカーボンフリー化に向けて、キャンパス内への風力発電・太陽光発電....

6.環境研究エネルギー関連研究■三重大学スマートコミュニティ大学院工学研究科電気電子工学専攻/石田宗秋(教授)、山村直紀(准教授)三重大学のカーボンフリー化に向けて、キャンパス内への風力発電・太陽光発電などの新エネルギーの導入、さらにはバッテリや電気二重層キャパシタなどの蓄電設備、ガスエンジン発電システムを導入し、自然エネルギー導入による二酸化炭素の削減と省エネルギーを実現する大学内スマートコミュニティの形成を目的としています。化石燃料使用による大気中の二酸化炭素濃度の増加はここ20年で10%上昇しており、それに伴う地球温暖化が深刻な問題となってきています。この問題を解決するには、地球規模での二酸化炭素の削減が必要になりますが、そのためには、まず大学から率先してこの問題に取り組む必要があると考えています。そのための方策として、大学構内に複数配置された風力発電、太陽光発電およびキャンパス内の負荷からの変動した電力を電気二重層キャパシタやフライホイール、あるいはバッテリをもちいた電力貯蔵システムとガスエンジン発電システムを協調させ、電力系統側から見て高品質なグリッドシステムとなるよう動作させます。その際、ガスエンジン発電システムを積極的に電力補償に用いることで、電力貯蔵装置の必要容量を削減させることができます。さらにガスエンジン発電システムと電力貯蔵装置の電力を総合的に運用する(協調制御)ことで、ガスエンジン容量を若干上げる必要があるものの、ガスエンジン発電システムの容量と電力貯蔵システムの容量のベストマッチを行うことで、トータルコストの削減が可能になると考えられます。また、各部負荷消費電力及び発電電力を監視するためのスマートメータを配置し、キャンパスネットワークを通してデータを収集・管理し、主としてガスエンジンのコントロールにより最適な発電・負荷調整を行います。専用線を用いず、一般の回線を用いることで、回線費用の増加を抑えることができますが、データの安定した転送速度は補償されず、遅延やロスなどが発生する可能性があるため、このような状態においても安全に電力がコントロールできるよう転送方式の改善や電力需要・予測技術の改良を行います。環境研究■環境に配慮した風力発電システムの開発大学院工学研究科機械工学専攻/前田太佳夫(教授)、鎌田泰成(准教授)、村田淳介(助教)世界には198GW(ギガワット)の容量の風力発電システムが回っており、世界の電力の2%を風力発電が作っています。原子力発電1基の目安が1GWですから世界には原子力発電200基分に相当する風力発電が回っていることになります。風力発電は益々増加傾向にあり、世界では年増加率20%以上の勢いで導入が進められています。どうして風力発電の導入が伸びているのでしょうか。まず第1に、輸入に頼っている化石燃料と異なり、風力発電は国産エネルギーであることが大きな理由です。第2に、風力発電はカーボンフリーな再生可能エネルギーであることです。第3に、風力発電産業は自動車産業に匹敵するほど裾野が広い産業であることです。自動車の部品点数は3万点ですが、現在主流の2,000kWの風力発電は2万点の部品で構成されており、機械、電気、化学、土木、情報などの幅広い産業によって支えられており、それに伴い雇用も生まれています。風力発電は風が持っているエネルギーを電気に変換する装置です。そのために、風エネルギーを効率良く電気へ変換するためには翼(羽根)の形状に工夫が必要です。風力発電の翼断面は、航空機翼と同様に流線形ですが、風速の変化や回転に対して安定して電力を生み出すように航空機翼よりも厚い風車専用翼が使われています。当研究室においても変動の大きな風に対して高出力を発生する翼の開発を行っています。また、風力発電は屋外で稼働する装置であるために翼回転による空力騒音が課題となることがあります。Environmental Management Report 2011 39