環境報告書2011

環境報告書2011 page 42/84

電子ブックを開く

このページは 環境報告書2011 の電子ブックに掲載されている42ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
6.環境研究風力発電の騒音源となるのは翼から発生する空気の渦によるものが代表的であり、この渦によって発生する空気の振動が人の耳に達すると騒音となって聞こえます。騒音の中でも高周波のものは短い距離で減衰す....

6.環境研究風力発電の騒音源となるのは翼から発生する空気の渦によるものが代表的であり、この渦によって発生する空気の振動が人の耳に達すると騒音となって聞こえます。騒音の中でも高周波のものは短い距離で減衰するのに対して、低周波のものは減衰しにくい特性があります。そのために、翼形状を工夫して、翼から発生する渦を微細化して、周波数を高くすることにより騒音の減衰を速めた低騒音の翼の開発を行っています。風車の翼先端の流れ(左:一般的な先端形状では渦が発生する。右:先端形状を工夫すると渦が減衰する)■21世紀の環境問題に挑む窒化物半導体の研究大学院工学研究科電気電子工学専攻オプトエレクトロニクス研究室/平松和政(教授)、三宅秀人(准教授)、元垣内敦司(助教)20世紀末に開発された窒化物半導体は、21世紀の環境問題を解決するエレクトロニクス材料の牽引車であります。照明用ディスプレイ用の発光ダイオード(LED)をはじめ、高出力・高周波トランジスタ、高効率太陽電池など、省エネルギーを可能にする材料です。本研究グループでは、窒化物半導体をベースに次世代の紫外線発光デバイスの開発に挑むことと、LEDによる新しい照明文化の創造に取り組んでいます。環境研究窒化物半導体は、従来からあるSi(シリコン)やGaAs(ガリウムヒ素)とならび家電製品をはじめとするエレクトロニクス製品にはなくてはならない材料です。1970年代から、窒化ガリウム(GaN)をはじめとする窒化物半導体は青色LEDの材料として研究開発がなされました。当初は高品質なGaN結晶を作製することが困難でしたが、1980年代後半以降に高品質なGaN結晶を作製する技術が開発され、1990年代前半に高光度の青色発光ダイオードが開発されました。これにより、LEDやディスプレイ、信号機、バックライトなどに使われるようになりました。さらには白色LEDの開発により、白熱電球、蛍光灯に代わる省エネルギー照明器具の光源として期待されています。今後は、高光度可視光LEDの開発が一層進む一方で、紫外光発光素子の開発に向かっています。一方、窒化物半導体は高温で安定、高出力・高周波での増幅器、整流器が可能という特徴を持っているので、省エネルギーのエレクトロニクスデバイス、システムの構築の開発も盛んに行われています。窒化物半導体に関する研究は、「三重大学新産業創成研究拠点」に活動基盤をおき共同研究を軸に実施しています。また、本研究グループは「三重大学極限ナノエレクトロニクスセンター」に属し、センター内外の活動を通して、常識をくつがえす新規エレクトロニクスデバイスの開発を目指しています。以下に研究例を紹介します。40 Environmental Management Report 2011窒化物半導体を用いた電子線励起紫外線発光デバイス◎電子線励起紫外線発光デバイスの開発波長200~300nmの紫外光源は、細胞内のDNAを破壊する殺菌・消毒効果、水や大気の浄化、医療・バイオ光源、半導体プロセス、光学測定など、多くの環境用、医療用、工業用光源として用いられています。従来の紫外光源として、水銀キセノンランプや重水素ランプがありますが、効率、短寿命、水銀の有害性といった課題があります。本グループでは、窒化物半導体AlGaN超格子をターゲットとして用いた電子線励起による深紫外光源を共同研究で試作しました。さらに、高効率、長寿命を可能とする電子線励起深紫外発光源の開発と実用化を目指しています。◎LEDによる新しい照明文化の創造次世代の照明は、場所と目的に応じて必要な明るさと色彩をもたらす照明文化(ユビキタス照明)が必要とされています。小型で自由な明るさと色彩をもたらすLEDはこれに適しています。本研究グループでは、LEDの照らし方を工夫する技術や新しいLED照明のあり方を考える研究を行っています。また、伝統工芸とLEDを組み合わせた新たな照明を開発しています。伊勢形紙を用いたLED感性系照明