平成26年度 文部科学省ユネスコ活動費補助金 グローバル人材の育成に向けたESDの推進事業

~ 三重ブランドのユネスコスクールコンソーシアム ~

背景

三重県内では、ユネスコスクールが4市で16校が登録(1校が登録申請中)している。特に、名張市の小中学校では、名張ユネスコ協会と韓国水原市のユネスコ協会との連携により、30年以上継続している活動や、毎年水原市で開催される青少年環境フォーラムにも中学生が参加している。津市の三重大学教育学部附属中学校では、中国天津師範大学附属中学校との国際交流を毎年行っており、ブラジルなど外国人比率が高い鈴鹿市の小中学校では、市内の外国人との協働による文化活動、熊野市の高校では、ユネスコ世界遺産の熊野古道において英語によるガイドを努めるなど、多様なユネスコ活動を行っている。

一方、南海トラフによる巨大地震が最も懸念される三重県において、防災教育は大変重要なESDの推進課題となっている。幸い、三重大学は、三重県内の防災拠点として、地域の防災リーダーの育成や命を守るための防災訓練などを積極的に行っている。また、再生可能エネルギーなどを視野に入れた創エネ・蓄エネ・省エネなどのエネルギー教育も急務となっている。

伊勢湾に面している三重県は、生物多様性の宝庫である松名瀬干潟を有し、また里海・海女文化が盛んな地域でもあることから、韓国済洲島の海女との連携による海女文化のユネスコ世界遺産の登録にも積極的に取り組んでいる。そこで、地域に根ざし、国際的な視野を備え持つグローバル人材の育成のためのESDの推進が必要不可欠となっている。

目的

  1. 既存の三重県内の4市の16校のユネスコスクールを拠点としながら、三重県内の14の全市へのユネスコスクールの拡大を図る。
  2. 環境・文化・地域の国際化を図る充実した活動内容を活かす、産官学民との協働体「三重ブランドのユネスコスクールコンソーシアム」を形成し、地域で活躍する人材を育成する。
  3. 地域に根ざし、国際的な視点を持ったグローバル人材育成のために、海外、特にアジア・太平洋諸国との連携を図るべく、「三重ブランドのユネスコスクールコンソーシアム」を発展させた国際連携事業を展開する。

概念図

 


3年間の計画概要(抜粋)

  • 国内外のユネスコスクールとの交流
  1. 『ESD in 三重 2014』において、三重大学の練習船「勢水丸」を用いた海洋生物多様性学習を国内外のユネスコスクールの学生へ実施し、国際理解(交流)のESDを実施する。
  2. 自然環境と生物、人間との関わりを学びの場とするモデル地域を設定し(松阪市の松名瀬干潟)、本事業の最終年度に、ラムサール条約の登録を目指す。
  3. 海女文化を学びの場とするモデル地域を設定し(鳥羽市及び志摩市)、海の博物館及び三重県総合博物館、斎宮歴史博物館との連携による海女文化のESDプログラムを構築し、実施する。
  4. 文化と産業を学びの場とするモデル地域を設定し(亀山市関宿)、亀山ユネスコ協会と連携し、総合的な教育プログラムを実施する。
  5. 三重県内16校のユネスコスクールの交流機会を創出するために、「三重ユネスコスクール研修会・シンポジウム」を毎年1回開催し、各学校で行っているユネスコスクール活動の情報共有を図る。
  6. ユネスコスクールネットワーク(ASPNet)及びユネスコスクール大学間ネットワーク(ASPUnivNet)との緊密な連携によって、三重県のみならず、全国的なユネスコスクール活動の拡大や質的向上を図る。
  7. 三重県鳥羽市の離島へのエネルギー供給のため、答志島から神島へ海底ケーブルによる電力供給の仕組み、風力発電、太陽光発電など実践的エネルギー教育について、中部電力との協働でESDプログラムを実施する。
  8. ユネスコ世界遺産の「熊野古道」の歴史、文化を知るESDプログラムを構築し、実施する。特に、熊野市のユネスコスクールの木本高校が実施している英語によるガイド活動の充実を図り、グローバル人材育成のグッド・プラックテイスとして発展させる。
  9. 三重大学の留学生をユネスコスクール学生委員会へ加入させ、三重県の環境や文化遺産などについて多言語の資料を作成し、世界へ情報発信する。
  • ユネスコスクール以外の学校でのESD活動の実施
  1. 松阪市の松名瀬干潟は、渡り鳥の渡来地や動植物の豊富な干潟である。申請時(平成26年4月)に、松阪市のユネスコスクールはゼロであるが、松阪市松名瀬干潟をモデル地域とする、陸と海での生物多様性保全活動を行い、三重県・松阪市・松阪ユネスコ協会との連携によって松阪市内の小中高校でのユネスコスクール登録を目指す。
  2. 亀山市関宿は、日本の歴史や文化を知る貴重な文化遺産を有する地域であるが、申請時(平成26年4月)に、亀山市内の小中高校でのユネスコスクールはゼロである。亀山市教育委員会及び亀山ユネスコ協会と連携しながら、亀山市内の小中高校でのユネスコスクール登録を目指す。
  3. 海女文化及び里海など、文化遺産と海の生物多様性保全のESDプログラムが期待されている鳥羽市と志摩市の小中高校において、申請時(平成26年4月)に、ユネスコスクールはゼロであるが、海の博物館及び三重県総合博物館、斎宮歴史博物館と連携しながら、鳥羽市と志摩市内の小中高校でのユネスコスクール登録を目指す。
  • 社会教育施設、青少年教育施設等との連携
  1. 海の博物館を中心とする海女文化、三重県総合博物館を中心とする陸や海の環境と生物(人間)との営み、斎宮歴史博物館を中心とする歴史文化、公益法人三重県環境保全事業団(三重県地球温暖化防止活動推進センター)を中心とする地球温暖化防止、NPO 法人亀山市総合環境研究センター、亀山ユネスコ協会、松阪ユネスコ協会、名張ユネスコ協会を中心とする文化財保全、企業等との連携による協働体「三重ブランドのユネスコスクールコンソーシアム」を構築する。コンソーシアムを通じて、環境、エネルギー、防災、生物多様性保全、地球温暖化防止、国際理解(交流)、文化財保全などのESD教育プログラムを実施するのと同時に、ユネスコスクール及びユネスコスクールへ登録準備を行っている三重県内全市の小中高校を支援する。
  • コンソーシアムの活動で得られた成果を地域の内外で共有するための「成果発表会」等
  1. 毎年2月頃、三重大学を拠点に「三重ユネスコスクール研修会/シンポジウム」を開催する。三重大学は、2009年8月に三重県唯一の大学としてユネスコスクールに登録し、毎年1月?2月に成果発表会を開催している。特に、2010年10月の国連生物多様性第10回締約国会議(COP10)のパートナーシップ事業として『COP 10 in 三重』を企画、開催し、アジア・太平洋地域から200名の小中高大学生を招聘し、ユネスコスクール活動を行った。成果発表には、次の項目を含める。
    • 国内外のユネスコスクールとの交流の事例発表
    • ユネスコスクール以外の学校でのESD活動の実施事例発表
    • 社会教育施設、青少年教育施設等との連携した事例発表
    • 先進的な取組をする国内外のユネスコスクールの活動実績をリサーチして発表
    • 最終年度(平成28年度)は、3年間の成果と次年度以降の実施計画について発表
  2. 毎年2月に、和文と英文(概要版)の成果報告書を発行する。
  3. 成果については、随時HPへアップする。(英文・和文)
  • 都道府県教育委員会との連携
  1. 三重県教育委員会は、産官学民との協働体(三重ブランドのユネスコスクールコンソーシアム)のメンバーである。なお、本事業の最終年度(平成28年度)には、三重県内自治体の14の全市の小中高校からのユネスコスクール登録を目指していることから、各自治体の教育委員会との連携も図る。

平成26年度の計画概要(抜粋)

  • 国内外のユネスコスクールとの交流

平成26年は、11月に「ESDに関するユネスコ世界会議」のパートナーシップ事業として『ESD in 三重 2014』を開催する。

  1. 『ESD in 三重 2014』において、三重大学の練習船「勢水丸」を用いた海洋生物多様性学習を国内外のユネスコスクールの学生へ実施する。他にも三重オリジナルの海女文化をテーマに学びの場とするため鳥羽市及び志摩市、文化と産業をテーマに学びの場とするため亀山市関宿、さらに自然環境と生物、人間との関わりを学びの場とするため松阪市の松名瀬干潟をモデル地域と設定し、ESDプログラムを構築・実施する。 
  2. 『ESD in 三重 2014』と連携し、「三重大学ユネスコスクール研修会・シンポジウム」を11月に開催し、
    海外の先進事例や地域特性の事例など交流材料とするために、海外からプロフェッサーや要人等をアドバイザーとして招聘する。
  3. 「ESDに関するユネスコ世界会議」の開催に合わせ、ユネスコスクールネットワーク(ASPNet)及び
    ユネスコスクール大学間ネットワーク(ASPUnivNet)と連携体制を整え連携を図る。
  4. 海底ケーブルによる電力供給の仕組み、風力発電、太陽光発電など実践的エネルギー教育を、
    三重県鳥羽市の離島の答志島から神島をフィールドとして開催し、中部電力など企業と交流を図る。
  5. ユネスコ世界遺産の「熊野古道」の歴史、文化を知るESDプログラムを構築、実施する。
  6. 三重県の環境や文化遺産などについて多言語で発信するツールの作成を検討する。
  • ユネスコスクール以外の学校でのESD活動の実施

ユネスコスクール以外の学校に対しても、「国内外のユネスコスクールとの交流」で実施するESD活動を基本に展開する。平成26年度は『ESD in 三重 2014』を実施することから、ユネスコスクール登録がまだない松阪市と鳥羽市・志摩市を重点活動地域として実施をする。

  1. 松阪市松名瀬干潟をモデル地域とする、陸と海での生物多様性保全活動と生物多様性に関連したESDプログラムを行い、三重県・松阪市・松阪ユネスコ協会との連携に松阪市内の小中高校でのユネスコスクール登録を目指す。
  2. 海女文化及び里海など、文化遺産と海の生物多様性保全のESDプログラムを鳥羽市と志摩市で行い、海の博物館及び三重県総合博物館、斎宮歴史博物館と連携しながら、鳥羽市と志摩市内の小中高校でのユネスコスクール登録を目指す。
  • 社会教育施設、青少年教育施設等との連携

社会教育施設等の連携は「国内外のユネスコスクールとの交流」で実施するESD活動『ESD in 三重 2014』を実施するために平成26年度は連携事業を実施する。特に平成26年度はユネスコスクール・ESDプログラムとして新たな連携先として社会教育施設に加え、産業界(企業)と連携したESDプログラムの実施に向けた検討をはじめる。

  1. 社会教育施設等との連携強化:海の博物館、三重県総合博物館、斎宮歴史博物館、公益法人三重県環境保全事業団(三重県地球温暖化防止活動推進センター)、NPO 法人亀山市総合環境研究センター、亀山ユネスコ協会、松阪ユネスコ協会、名張ユネスコ協会と企業等との連携による協働体(三重ブランドのユネスコスクールコンソーシアム)を創設する。
  • コンソーシアムの活動で得られた成果を地域の内外で共有するための「成果発表会」等
  1. 平成27年2月三重大学を拠点に「三重大学ユネスコスクール研修会/シンポジウム」を開催して、平成26年度の成果発表を行う。
  2. 和文と英文の成果報告書を発行する(平成27年2月頃)
  3. 三重大学のホームページの中に、本取組の成果を公表するサイトを開設し(平成26年7月頃)、活動成果は随時公開する。
  • 都道府県教育委員会との連携
  1. 三重県教育委員会は、産官学民の協働体「三重ブランドのユネスコスクールコンソーシアム」のメンバーとして構成されており、本取組に関しても連携した事業を展開する。なお、本事業の最終年度(平成28年度)には、三重県内自治体の14の全市の小中高校からのユネスコスクール登録を目指しているため、平成26年度は三重県教育委員会を通じて、ユネスコスクールの登録校がない県内各市の教育委員会と連携を図るための協議体制を構築する。