国際交流センターは,去る12月3日(木)に,国連広報センターの根本かおる所長を講師にお招きして『国連創設75周年 in 三重大学 ~未来を創るのは,私たちだ。~』と題した講演会を開催いたしました。

講演会はオンライン(Zoom)で開催され,三重大学の学生や教職員はもちろんのこと,国内外の高等教育機関関係者からも多数の聴講の申し込みがあるなど活況を呈すところとなりました(ドイツやアメリカなどからも質問やアドバイスを求める声が寄せられました)。

<講演要旨>
 「コロナ後の世界における国際連合と若者の役割とは?」
  ・国連の取組みとその主要課題(気候変動を筆頭とした環境問題等)。
  ・新たな世界の課題となったCOVID-19(医療,経済,社会,人権の危機)。
  ・今年は(コロナ禍では),HDI(人間開発指数)が初めてマイナスとなった(1870年以来の大きな下げ幅)。
  ・課題解決のムーンショットたるSDGs。そのものに法的拘束力はないが(社会契約的な文章であるが),それを羅針盤としてコロナ禍からのより
   よい復興を成し遂げたい(オールドノーマルに戻ってはならない)。
  ・グテーレス事務総長は,解決すべき課題の筆頭にダイバーシティ(ジェンダー・エンパワーメント)を据えている。
  ・若者も「世界が抱える課題」の不利益を被っている。海外では,それらに対して若い人たちが続々と声を上げている(マララさん,グレタさん
   et al.)。
  ・若い人たちには,アクターとして世界のチェンジメーカーとなってもらいたい(自分事としてSDGsを考えてもらいたい)。

<ウェビナー参加者の意識調査>
  ・商品購入の際に環境を意識するか?(しない34%/やや50%/する16%)
  ・就職先を考える際に環境を意識するか?(しない21%/やや45%/する33%)

<質疑応答>
  ・学生(三重大学)
   Q:ジェンダーギャップを解消するためには何が一番大切か?
   :フェミニストであるグテーレス事務総長は,国連における女性のエンパワーメントに具体的な数値目標を設けて実際にそれを達成している
     (日本政府は目標達成を先送りしている)。フェミニズムについてもっと声を上げるべき。進捗の遅延を嘆いても仕方がない。皆さんには
     信念をもって行動してほしい。

 ・学生(ハイデルベルク大学)
   Q:日本ではビーガン向けの食事を提供する機会が少ないように思われるが?
   :オリンピックに向けて広報を行っているが,食品ロスほどの関心を得ていない。英国の著名シンガーが行っているキャンペーン(行動様式
     )のように無理のないステップで進めることが肝要か。
     我慢を強いる施策は浸透しない。おいしさの追求も重要。栄養価や来歴表示システムの開発等,大学の取り組みに期待している。

 ・学生(三重大学)
   Q:異なる意見をまとめる際にモットーとしているものはありますか?
   :トレンド(幹となるもの)をよく理解することを心がけている。一人ひとりにある個別の問題を排除してはならない(ミクロとマクロを紐
     付ける)。
     SDGsのフレームワークは,皆が意見を持ち寄るところにある。いろいろな人を巻き込んでコンサルテーションを行っていただきたい。

 ・社会人(国連フォーラム)
   Q:大人ができること,次世代に渡していくべきことは何だと思いますか?
   :BLM運動等,Z世代と同様に大人も社会のひずみに対して声を上げずにはいられない。若者のエネルギーをポジティブな流れに繋げていく
     ことが大人の重要な役割であると考えている。

<三重大学へのメッセージ>
  ・コロンビア大学には大学院としてクライメートスクール(climate school)が設置されていると聞いている。環境先進大学たる三重大学では,全
   ての学部学生が教養課程で「環境」を広く学び,それを専門課程や大学院で深く学ぶことができればよいのではないかと考えている。

<ウェビナー参加者へのメッセージ>
  ・SDGsの達成には若者の意識づくりが大切であることを知った。若者の一人ひとりには無限の力がある。それをアクションに変え,物事を決定す
   る場面に関わっていただきたい(日本からも国連のユースアドバイザリーグループに参加してほしい)。

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