温暖化する北極海から大陸に向かう水蒸気量の増加を発見
 ~北極の温暖化に伴う中・高緯度の気候変動や水循環過程の理解向上に寄与~

研究の概要
  三重大学大学院生物資源学研究科の飯島慈裕教授ほか、研究グループは、海氷面積の縮小や海水温の上昇など、近年急速に温暖化が進行する
 北極海周辺における大気中の水蒸気の流れを解析し、北極海から蒸発した水蒸気がユーラシア大陸や北米大陸に向かって近年多く輸送されている
 ことを解明しました。1981年から2019年までの期間について解析したところ、北極海を起源とする水蒸気の輸送が9月から12月にシベリア地域で
 増加していることが分かりました。このことはシベリアにおける地域的な積雪増加傾向とも整合的であり、北極海の海氷減少や水温上昇が、
 ユーラシア大陸や北米大陸の水循環や生態系にも影響を与えることを示唆する結果と言えます。

 

 

 

                 三重大学
                  大学院生物資源学研究科
                  教授 飯島 慈裕(IIJIMA Yoshihiro)
                  専門分野:自然地理学、永久凍土科学
                  現在の研究課題:永久凍土環境変化に関する超学際研究